No Wheels,No Life

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XRV750 Tripmaster移植

まずは完成形。
NX650ドミネーターに、XRV750アフリカツインのデジタルトリップメーターを付けてみた。
海外サイトだとTripmasterと呼ばれてるようなのでそのように準拠しておく。

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で、取り付けについて。

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このメーターはアフリカツインの場合、スピードメーターの裏に車速パルスを発生するエンコーダがあり、そのパルスによって駆動されている。
ただこのエンコーダ単体では部品設定されておらず、スピードメーターASSYでないと手に入らないらしい。
調べた結果から書くと、メーターケーブル1回転で4パルス。
6Pコネクターの配線は以下の通り。
緑  :グランド(−)
赤/緑:バッテリー(+)
黒  :イグニッション(+)
茶  :イルミネーション(+)
白/青:速度パルス(+)
緑/黒:速度パルス(−)

本来スピードメーターの機能はないのだけど、基盤の「SPD」に10kΩの抵抗を繋ぐとスピードメーターの機能が使えるようになる。

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速度パルスの+と−を手動でカチカチ細かく接触させるとスピードがカウントされる。
無電圧のパルスで行けるのだろうか。

実験その1。

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スピードメーターの仕組みはメーターケーブルの終点で円形の磁石が回って渦電流により針につながったアルミのカップが回転し、ゼンマイ上のスプリングによりバランスをとって速度を示すというもの。
で、この回転する磁石にリードスイッチを近づけて調べてみたところ、1回転4パルスが取得できる。
ちなみにこのメーターはAX-1の新品メーター。
スケールは違うが構造・形状は全く一緒。

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メーターケーブルの差込口にモーターを繋いで回してみると針とほぼ同等のスピードが検出できたが、40km/h以上が検出できず0km/hになってしまう。

実験その2
リードスイッチ+無電圧の検出方法も正しいのかわからないので、やり方を変えて磁気センサーとフォトカプラで有電圧の5Vパルスでやってみることにした。

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12Vをイグニッションから、グランドは速度パルス(−)から。
5Vで出力されるパルスを速度パルス(+)へ。

・・が状況が改善しない。

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ここからが中々進展せず、だんだんスピード検出そのものがメーター経由だとできなくなってきた。

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コンデンサが膨らんでいるものもあったので貼り替えてみたりしたけど改善せず。
海外サイトを参考にいろいろ見ていたときに気がついた。
 回路図を見ながらSPD(+)からIC1のPin42に行くラインのパルスをオシロスコープで調べたところ、手前のトランジスタQ3の入り口まではちゃんとパルスなのに出口で計測するとパルスが乱れていた。
トランジスタで乱れるということはまずないので、Pin42との間にある抵抗R7を計測してみたところ導通が全くないのでここを100kΩの抵抗でバイパス。

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やっと正常にスピードが検出できた。
手持ちの機材だと260km/hが目一杯だけど、このメーター自体は320km/hまで計測できる。

なおほぼ同型のXR250(MD30)用メーターは標準でスピードメーターオドメーターの機能を持っているが、スピードは180km/hが上限とのこと。
ただしオドメータートリップメーターはちゃんとケーブルの回転に応じた距離がカウントできているらしい。


実車に設置して試運転したところ、スピードメーターの針の値とは少し誤差が出たが、GPSで計測した速度とはほぼ一致している。
この誤差は、スピードメーターの構造を考えるとスプリングの劣化や精度などからある程度は仕方ないものと思う。

参考にしたサイト
https://www.transalp.de/technik/umbauten/at-tripmaster/
トランザルプに追加した例。アフリカツインのスピードメーターにあるエンコーダを移植している。
投稿例ではエンコーダを使わず、ホイールに12個の磁石とセンサーでもいけるはずとの書き込みや、操作ボタンに線をつないでハンドルリモコンを作ったという書き込みもあった。

https://www.qsl.net/iz7ath/moto/Trip/index.htm
回路図やIC、抵抗、コンデンサなどのスペックが掲載されていてかなり役に立つ。
今回のスピード表示の不具合もここの回路図でヒントを得た。

https://p205cti.blogspot.com/2009/06/
プジョー205のメーターでの速度パルス検出。
磁気センサーとフォトカプラの回路はこれを参考にしてそのまま使ってみた。